東大地理では、日本の各地域に関する“地誌的な知識”が頻出します。
たとえば、ある農産物の出荷時期の違いや、地域ごとの気候・地形と産業の関係などが問われます。
これらは中学受験でも学ぶことなのですが、「そんな昔に学んだことなんて、もう全然覚えていない…!」という人も多いのではないでしょうか?
そんな受験生にぴったりなのが、『改訂版 中学入試にでる順 社会 地理』です。
中学入試問題を徹底分析し、よく出る順にテーマを並べたこの教材は、日本地誌の基礎をコンパクトに復習するのに最適です。
しかも、単なる暗記にとどまらず、図表や資料の読み取り力も養える構成です。
東大地理で実際に出題された問題との関連性も高く、「中学レベルだから」とあなどれない実力派です。
この記事では、そんな『でる順地理』を東大受験生の視点から徹底レビューします。
基礎の抜けを最短で補強し、本格的な地理論述にスムーズに移行するための使い方を解説していきます。
1:『改訂版 中学入試にでる順 社会 地理』とは
基本情報
項目 | 内容 |
監修 | 玉田久文 |
出版社 | KADOKAWA |
発売日 | 2024年1月26日 |
定価 | 1,430円(税込) |
ページ数 | 160ページ |
基本構成
1テーマ=1見開きでテンポよく学べる!
『中学入試にでる順 社会 地理』は、1つのテーマが見開き2ページで完結するシンプルな構成です。
左ページは「要点の整理」、右ページは「問題演習」という流れで、インプットとアウトプットをバランスよく行えます。
ふつうのテーマのページ
- 左ページ:「要点をチェック」
→ 地図・グラフとともに、覚えるべき情報が整理されています。 - 右ページ:「問題演習」
→「ゼッタイにおさえるべきポイント」で基礎確認、「入試で差がつくポイント」では思考力・資料読み取り力を問う難関中学入試で出題される応用問題も掲載されています。
👉 巻末には問題の解説もあり、復習しやすいのもポイント!
STEP1・STEP2で構成される発展テーマのページ
一部のテーマは、2段階で構成されています。
- STEP1:基本知識の確認(ふつうのページと同じ構成)
- STEP2:グラフや統計、図表を読み取る演習
→「読み取り問題にTRY」では異なる角度からの問題が出題され、応用力が身につきます。
掲載テーマ
- 日本の気候
- 日本の農林水産業
- 日本の工業・交通
- 世界の国々
- 日本の資源・貿易
- 日本の諸地域(地方ごとの自然・農林水産業・工業・交通)
- 日本の国土と自然
- 環境問題
- 世界の地形・自然・気候
- 地図の見方
- 通信・情報
- いろいろな地図
👉 特に「日本の諸地域」の章では地方ごとの自然条件・農業・工業・交通などが整理されており、東大地理で問われる“地誌”の基礎をまとめて確認するのに最適です。
2:『改訂版 中学入試にでる順 社会 地理』の使用タイミングと使用目的
『でる順 地理』はすべての東大地理受験生にとって必要不可欠な教材ではありませんが、特定のタイミングでは“驚くほど強力なサポーター”になってくれる一冊です。
以下ではどのような場面でこの教材を使うべきか、そして何を目的に使うのかを整理します。
◆使用タイミング
✅ 東大地理の勉強の初めの一歩として使いたいとき
中学受験以来、約5年ぶりに地理を本格的に勉強する…という受験生は少なくありません。そのときに「なんとなく覚えていたけど、今は曖昧」という記憶を効率よく呼び戻すための“リスタート用教材”として最適です。
✅ 東大地理の過去問演習中に、日本地理の地誌の弱さを感じたとき
過去問を解く中で、「知識が浅くて論述の材料が出てこない…」「地域ごとの違いをもっと具体的に書けるようにしたい…」と感じたタイミングで、本書を使えばピンポイントで弱点を補えます。
◆使用目的
📌 中学受験レベルの日本地理に関する基礎知識を定着させる
⇒ 日本各地の気候・農業・工業・地形など、論述の“土台”となる情報を確実に押さえる。
📌 地理のグラフ・資料の読み取り問題を中学受験レベルから練習する
⇒ 東大の地理では、グラフや図表を正確に読み取る力が求められるため、初歩的な訓練として有効。
📌 日本地理の知識をシンプルに・短時間で復習する
⇒大部分の参考書に比べて、コンパクトに全体像を整理できるのが魅力。
3:『改訂版 中学入試にでる順 社会 地理』の特徴とメリット
『でる順 地理』は「中学受験向け」の枠を超え、東大地理の基礎を確認・補強するのに極めて有効な教材です。
ここでは、その具体的な特徴と受験生にとってのメリットを見ていきましょう。
◆出題傾向に基づいた「効率重視」の構成
- 約100校の中学入試問題を徹底分析
- 最新の出題傾向を反映し、「よく出る順」にテーマを配置
- 東大でも問われる“定番の日本地誌ネタ”を、効率よく確認できる
◆要点チェック+問題演習の組み合わせで「覚える×使う」
- 左ページで要点整理 → 右ページで演習
- 暗記と実践をセットで行えるため、知識がしっかり定着
- 難関中学の応用問題で、地理的思考力も鍛えられる
◆図・グラフを活用した読み取り力が身につく
- 「読み取り問題にTRY」や「入試で差がつくポイント」で、資料を使った出題に慣れられる
- 東大地理の論述で頻出の「図表・グラフの分析力」の土台づくりに◎
◆見やすく・使いやすい構成
- 1テーマ=1見開きで、テンポよく勉強できる
- 赤字強調+赤シート対応でセルフチェックしやすい
- コンパクトなサイズで持ち運びもラク。スキマ時間の勉強にも最適
◆東大過去問にも直結!この本の知識が“実際に使える”例
『でる順 地理』の記述内容が、そのまま東大論述の土台になる例も多数あります。
- 📝 2022年・第3問B「東京都のブルーベリー栽培」
→ 本書では「関東平野で近郊農業が盛ん」と明記。栽培の地理的背景を論述する際の核になる。 - 📝 2020年・第1問A「石狩平野と十勝平野」
→ 両地域の農業形態に関する説明が掲載。地形と農業の因果関係を答える際に有効。 - 📝 2020年・第1問B「高知県と香川県の水資源」
→ 讃岐平野は雨が少なく川が乏しい=水確保が課題、という記述がそのまま論述の根拠に。 - 📝 2020年・第1問B「長野県と茨城県のレタス出荷時期の違い」
→ 長野=高冷地農業、茨城=近郊農業と整理され、それぞれのメリットが明記。解答の骨子を構成。
4:『改訂版 中学入試にでる順 社会 地理』の効果的な使い方
『でる順 地理』は中学入試向けでありながら、東大地理の“地誌の土台づくり”に非常に適した教材です。
ただし、あくまで「基礎を素早く確認する」ための参考書です。
効果的に使うには、以下のようなシンプルな活用法がベストです。
◆① 1テーマずつ“赤シート”で徹底チェック!
- ✅ 左ページの「要点をチェック」は、赤字で重要事項がまとめられているため、赤シートを使ってセルフテストを行うのが基本です。
- ✅ 見開き1テーマなので、毎日1〜2テーマずつ進めても負担が少なく、継続しやすいのもポイント。
- ✅ 右ページの問題演習も、できれば赤シートで答えを隠して自力で取り組むことで、インプットとアウトプットの両方が可能に!
◆② 気になった用語は“大学受験用地理用語集”で補強!
- ✅ 本書は中学受験向けなので、用語の説明はあくまでコンパクト。東大レベルの論述で使うには、意味や背景を深掘りする必要がある用語も出てきます。
- ✅ 例えば、「近郊農業」「扇状地」「輪中」「かんがい」「二毛作」など、単語の意味はわかっても、「なぜそうなるのか?」まで論じるには大学受験用の参考書・用語集での補強が不可欠です。
- ✅ 気になったキーワードは、都度用語集や資料集などで確認し、自分なりのメモにまとめておくと、論述対策にも直結します。
5:『改訂版 中学入試にでる順 社会 地理』の使用上の注意点
『でる順 地理』は東大地理の基礎固めに有効な教材である一方、あくまでも“中学入試向け”の参考書であることを踏まえ、以下の点に注意して使う必要があります。
① 範囲は“ほぼ日本地理のみ”!カバーしていない分野も多い
- 本書が対象としているのは基本的に中学受験の地理範囲=日本地理中心です。
- 世界地理や都市地理、近年の入試で問われるようなグローバルな視点のテーマ(SDGs・国際貿易・気候変動など)は、ほぼ扱われていません。
- あくまで「日本の地誌を総ざらいするための復習教材」として限定的に使うのがベストです。
② 周囲の目が気になるなら“カバーをかけて使う”のもアリ
- 本書は中学受験用の教材であり、デザインやタイトルも小学生向けです。
- そのため、高校生や浪人生が使っているのを見て心ないことを言われるリスクもゼロではありません。
- 学校や予備校、自習室で使う場合は、ブックカバーやノートカバーをかけて使うと、精神的にも安心して取り組めます。
③ あくまでも“準備教材”!時間をかけすぎないことが重要
- 本書は東大地理対策の準備段階に位置づけられる教材です。
- ここに時間をかけすぎてしまうと、本来注力すべき論述演習や資料問題対策の時間が削られてしまう可能性があります。
- 必要なテーマだけを選んでピンポイントで使う、あるいは短期間で一気に仕上げるなど、目的を明確にして効率よく使うのがポイントです。
6:『改訂版 中学入試にでる順 社会 地理』を実際に使った受験生の声
実際に『でる順 地理』を東大地理対策に取り入れた受験生たちからは、こんな声が届いています。
◎ 良かった点
🗣「地理って高校でちゃんと習う機会がなかったから、最初にこれで日本地誌の復習できたのがめっちゃ助かった。地形とか農業の話もわかりやすくまとまってて、正直“ナメてた”けど内容けっこう濃い。」(高3・文II志望)
🗣「見開き完結だから勉強のペースつかみやすいし、赤シートでガンガン暗記できるのがよかった。地理って資料系が多いから、このくらいテンポよく進められるのがありがたい。」(高2・文I志望)
🗣「意外と東大の論述に出る地域がそのまま載っててビビった。」(高3・文III志望)
❌ いまいちだった点
🗣「日本地理しか載ってないから、世界地理にも不安がある人には物足りないかも。あと、環境問題とか最近の国際ネタはぜんぜん触れてない。」(高3・共通テスト対策中)
🗣「中学入試用って見た目で分かるから、人前で使うのはちょっと恥ずかしかった(笑)。電車とか予備校で読むときはカバーかけてた。」(高3・文Ⅱ志望)
7:『改訂版 中学入試にでる順 社会 地理』の記事のまとめ(箇条書き)
- 東大地理で頻出の「日本地誌」の基礎を短時間で効率よく復習できる
- 要点チェック+問題演習の形式で、暗記と実践を同時にこなせる
- 図やグラフを用いた資料問題にも触れられる構成
- 1テーマ1見開きでテンポよく進められる。赤シート対応で暗記しやすい
- 持ち運びやすいコンパクトサイズで、スキマ時間学習にも◎
- 東大論述で問われたテーマ(高冷地農業・水資源・近郊農業など)に対応した記述も多い
- 世界地理や時事的な内容は未掲載。日本地理に特化して使用するのがベスト
- 高校生が使うには見た目がやや恥ずかしい面もあるが、カバーで対応可能
- あくまでも「準備用教材」として短期間での活用を推奨
8:さいごに
東大地理で安定して得点を取るためには、「地誌の基礎力」が不可欠です。
とくに日本各地の自然条件・産業・交通などに関する知識は、論述の“素材”として頻繁に使われます。
『改訂版 中学入試にでる順 社会 地理』はその基礎の土台を短期間でしっかり整えることができる、まさに“隠れた良書”です。
実際に過去の東大入試で出題された内容と驚くほどリンクしているページがいくつもあります。
ただし、これはあくまで「準備用」の教材です。使
う目的と範囲を明確にして、深追いしすぎず東大レベルの演習や資料読み取り問題へと進んでいくことが大切です。
自分の弱点や現状に合わせて、この1冊を“賢く、割り切って”活用すれば、東大地理への第一歩はよりスムーズに、そして確実に踏み出せるはずです。