2021年の東大地理第3問B(3)では、日本の首都圏において管理的職業、専門的・技術的職業、事務に従事する女性の増加理由が問われました。
本記事では、「オフィス」「若年層」という指定語句を活用し、首都圏におけるホワイトカラー女性の増加をもたらした背景について詳しく解説します。
産業構造や労働市場の変化、首都圏の特性を踏まえながら、その理由を紐解いていきます。
講義:2010年~2015年に首都圏でホワイトカラーの女性が増えた理由
ホワイトカラーとは
ホワイトカラーとは、管理職、事務職、専門職といったデスクワークを主な業務とする職業の総称です。
これらの職業は、主にオフィスを拠点に業務を遂行するのが特徴です。
首都圏に中枢管理機能が集中していることから、ホワイトカラーの就業機会は首都圏に多い傾向があります。
首都圏でホワイトカラーの女性が増えた背景
首都圏の特徴
首都圏は日本の政治、経済の中枢として機能しており、企業本社や中央官庁、各種団体の本部が集積する地域です。そのため、多くのオフィスが存在し、管理職や専門職、事務職といったホワイトカラーの求人が豊富にあります。
また、首都圏は大学が多く立地しているために高学歴の若年層が集まりやすく、女性を含む多くの若年労働者が就業機会を求めてこの地域に集中する傾向があります。
団塊世代の定年退職
2010年から2015年は、団塊世代が一斉に定年退職した時期です。
この大量退職により多くの職場で人員不足が生じたため、若年層の採用が活発化しました。
その中でも、団塊世代に比べて高学歴化が進んでいる女性の若年層が積極的に採用されるケースが増加しました。
高い教育を受けた女性たちは、特にホワイトカラー職種において新たな労働力として求められるようになり、女性の社会進出が一層進む結果となりました。
用語解説:「団塊世代」
「団塊世代」とは、日本において1947年から1949年の間に生まれた人々を指します。
この時期は日本で戦後の第一次ベビーブームが起こった時期であり、急激に出生数が増加しました。
この世代は戦後の復興期に幼少期を過ごし、高度経済成長期に働き盛りを迎えて日本の経済発展に大きく貢献しました。
業務のデジタル化
この時期、事務業務や情報処理が急速にデジタル化され、業務の効率化が進みました。
若年層はデジタル機器やICT(情報通信技術)の操作に慣れているため、こうした新しい環境に柔軟に対応できる能力がありました。
したがって、事務職や情報処理分野などのオフィスワークで若年層の採用が増加しました。
ICTの発展は、首都圏のオフィスワークにおける若年層女性の雇用機会を大きく広げる要因となったといえます。
解答例
首都圏には大学が多く、高学歴女性が多い。オフィスも集積し、業務のデジタル化で若年層を中心に高学歴女性の採用が増加した。(59文字)