【東大地理2020】長野県と茨城県でレタスの出荷時期が大きく異なる理由(地形的要因と経済的要因)|第1問設問B(3)

東大地理2020第1問設問B(3)長野県と茨城県でレタスの出荷時期が大きく異なる理由(地形的要因と経済的要因) 東大地理

2020年の東大地理第1問B(3)では、長野県と茨城県でレタスの出荷時期が大きく異なる理由について問われました。
この問題では、地形的要因と経済的要因の視点から、生産地ごとの特徴を踏まえて説明することが求められました。本記事では、両県の地形や気候、消費地との距離がどのように生産や出荷時期に影響を与えているのかを詳しく解説します。

執 筆 者
諏訪孝明

東京大学経済学部卒
1浪・東大模試全てE判定・センター7割台の崖っぷちから世9割、日8割、数2割で文科Ⅱ類に合格。
これまでに1000人以上の受験生を指導。 
直近2年で偏差値70超の学校への合格率が90%を超えている。

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講義:長野県と茨城県でレタスの出荷時期が異なる理由

レタス栽培に適した気候

レタスは冷涼な気候を好む作物で、気温が高い環境では成長が早まりすぎたり品質が低下することがあります。
そのため、適切な気候条件を求めて栽培される地域や出荷時期が異なります。
産地ごとの標高や気候の違いが、レタスの出荷時期の違いを生む大きな要因となっています。

茨城県:平野部での近郊農業

茨城県は標高が低く、起伏が穏やかな平野地域に位置しており大都市東京に近接しています。
この地理的条件を活かして近郊農業が盛んに行われています。

茨城県には、東京という大消費市場に近いことで輸送コストが低いという利点があります。
また、鮮度を保ったまま出荷することが可能という流通面でも有利な条件を備えています。
春・秋の気候がレタス栽培に適しているため、平野部でレタスを栽培し、春と秋に出荷する体制が整っています。
このように、地形的要因と大都市近接という経済的要因が結びついた農業形態が特徴です。

長野県:高地での抑制栽培

長野県は標高が高く、夏でも冷涼な気候を活かした高冷地農業が特徴です。
この地理的条件を利用して、レタスを盛夏に出荷する抑制栽培が盛んに行われています。

標高の高い冷涼な気候は、レタスの品質を保ちながら生産できる環境を提供します。
他県の平野部が出荷を終えた夏季にレタスを生産・出荷できるため、競合が少ない時期に高価格で販売が可能です。

長野県は茨城県に比べて東京から遠いため、輸送に課題があります。
しかし、コールドチェーン(低温物流網)の活用や高速道路網を利用することで、早朝に収穫したレタスをその日のうちに東京圏の店頭に届けることが可能です。
このように、地形的要因と経済的工夫が結びつき、高冷地農業の優位性を生み出しています。

解答例

市場に近く平野部の茨城県は春と秋に出荷し高地で冷涼な長野県は他県の出荷が少ない夏に高値で出荷し輸送費の不利を補うから。(59文字)

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