【東大地理2020】可住地面積の割合が小さい和歌山県と高知県に共通してみられる地形的特徴|第1問設問B(1)

東大地理2020第1問設問B(1)総面積1平方kmあたりの人口密度や可住地面積1平方kmあたりの人口密度と関連する、和歌山県と高知県に共通する地理的特徴 東大地理

2020年の東大地理第1問B(1)では、和歌山県と高知県に共通する地形的特徴を2行で説明する問題が出題されました。
この問題では、総面積に対する可住地面積の割合が小さい要因を地形的観点から考察することが求められました。
本記事では、和歌山県と高知県の地形的特徴について詳しく解説します。

執 筆 者
諏訪孝明

東京大学経済学部卒
1浪・東大模試全てE判定・センター7割台の崖っぷちから世9割、日8割、数2割で文科Ⅱ類に合格。
これまでに1000人以上の受験生を指導。 
直近2年で偏差値70超の学校への合格率が90%を超えている。

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講義:和歌山県と高知県に共通する地形的特徴

1:非可住地が広く、可住地が限定されている

和歌山県と高知県では、総面積あたりの人口密度(a)に比べ、可住地面積あたりの人口密度(b)が非常に高いことがデータから読み取れます。
このことは、両県の総面積に占める非可住地(山地)の割合が大きいことを示しています。
険しい山地が広範囲に広がるため、平地となる可住地が限られており、結果的に人口が沿岸部の狭い平地に集中しているのが特徴です。

2:険峻な山地が広がる地形的要因

和歌山県と高知県はいずれも西南日本外帯に位置しており、中央構造線の南側に広がる地帯です。
この外帯はプレート運動の影響による地殻変動と隆起量の大きさが特徴で、結果として険しい山地(紀伊山地や四国山地)が形成されています。
これらの山地が県域の大部分を占めているため、平地は限られた地域にしか存在しません。
このような地形的要因が、両県の可住地面積の狭さにつながっています。

3:海岸線付近に迫る山地

和歌山県と高知県はいずれも海に面していますが、海岸線に近い場所まで山地が迫っていることが特徴です。
そのため、広い沖積平野を形成するような大規模な河川が少なく、河川沿いの低地も非常に狭いです。
これにより、広大な平野が発達しておらず、可住地として利用できる平地が限られています。
このような地形的制約が、両県の総面積に対する可住地面積の割合を小さくする大きな要因となっています。

4:地形的制約による可住地の集中

和歌山県と高知県では、可住地が主に沿岸部の限られた平野に集中しています。
両県は地形的に山地が多く、広い沖積平野が発達していないため、平地の面積が非常に限られています。
この結果、可住地面積の割合が小さくなり、人口は沿岸部の狭い平地に密集する傾向があります。
このような地形的制約が、人口分布や可住地利用の特徴を形作っています。

5:和歌山県・高知県と長野県の対比

表1-1から読み取れるように、和歌山県・高知県と長野県は総面積に対する可住地面積の割合が小さい点で共通しています。
しかし、今回の問題では可住地面積の割合が小さい和歌山県・高知県・長野県の三県のうち和歌山県・高知県に限定して共通の地形的特徴を問われています。
このことから、この問題を記述するうえでは和歌山県・高知県と長野県の地形的特徴の違いを意識する必要があるといえます。

和歌山県・高知県は海に面しています。
一方、長野県は内陸県です。

この違いを意識して解答を作成するようにしましょう。

解答例

海洋に面しているが河川沿いの平野が狭く、外帯に位置し山地の面積割合が大きいため総面積に対する可住地面積の割合が小さい。(59文字)

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