2020年の東大地理第1問A(5)では、地形断面図の水平方向に対する高度方向の拡張率を見積もる問題が出題されました。
この問題では、地形断面図と実際の地形を比較し、それぞれのタテ方向(高度)とヨコ方向(距離)の比率から拡張率を算出します。
本記事では、解法のプロセスを詳しく解説します。
解答・解説:地形断面図と日本地図の測定方法
地形断面図(図1-1のア)
地形断面図アについて、タテ方向とヨコ方向の比率を以下の手順で見積もります。
タテ方向(高度)
地形断面図のタテ方向は「2000m」と表記されています。よって、タテ方向の数値は2000mです。
ヨコ方向(距離)
ヨコ方向はタテ方向を基準に測ります。
指や目測で確認すると、タテ方向の約2.5倍程度であることが分かります。
これを比率で表すと、タテ方向:ヨコ方向 = 1:2.5となります。
タテ・ヨコの比率
タテ・ヨコ比率は1:2.5、または2:5と表せます。
実際の地形(図1-2)
日本地図の③(アに対応する箇所)を用いて、タテ方向とヨコ方向の実際の比率を求めます。
タテ方向(高度)
地形断面図と同様に、タテ方向を2000m(2km)とします。
ヨコ方向(距離)
③の距離を日本地図上で測定します。
東京~大阪間の直線距離は約400kmであり、③はその半分程度と見積もられます。
したがって、ヨコ方向の距離は約200kmです。
タテ・ヨコの比率
実際の地形のタテ・ヨコ比率は2:200となります。
水平方向に対する高度方向の拡張率の計算
地形断面図と実際の地形の比率を比較し、拡張率を計算します。
- 地形断面図のタテとヨコの比率は2:5
- 実際の地形のタテとヨコの比率は2:200
拡張率を計算するために、実際の地形のヨコ方向の比率(200)を地形断面図のヨコ方向の比率(5)で割ります。
200÷5=40
よって、拡張率は約40倍と見積もられます。
指定された形式での答え方
問題文の指定に従い、拡張率を有効数字1桁の形(k×10のn乗)で表します。
また、kは1、2、5のいずれかでなければなりません。
40に最も近い数値を選ぶ
候補は以下の通りです。
1,2,5,10,20,50,100,200,500,1000,..
このなかで、40に最も近い値は50です。
解答
5×10の1乗倍