【東大地理2020】奥羽山脈が周りの出羽山地や北上高地と比べて高峻である理由|第1問設問A(2)

東大地理2020第1問設問A(2)奥羽山脈が周りの山地と比べて高峻である理由 東大地理

2020年の東大地理第1問A(2)では、奥羽山脈が周囲に位置する出羽山地や北上高地と比較して高く険しい理由について問われました。
この問題を正しく解答するためには、「火山活動」や「褶曲山脈」といった地理学の重要な用語を正確に理解する必要があります。
本記事では、奥羽山脈が持つ特徴と、それが生じた地形的・地質的な背景について詳しく解説します。

執 筆 者
諏訪孝明

東京大学経済学部卒
1浪・東大模試全てE判定・センター7割台の崖っぷちから世9割、日8割、数2割で文科Ⅱ類に合格。
これまでに1000人以上の受験生を指導。 
直近2年で偏差値70超の学校への合格率が90%を超えている。

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講義:奥羽山脈の地形的特徴

奥羽山脈は、周辺に位置する出羽山地や北上高地と比べ高く険しい特徴を持ちます。
これには、以下のような地質学的要因が関与しています。

1:火山フロントに位置するため火山活動が活発

奥羽山脈は沈み込み帯の火山フロントに位置しています。
この火山フロントの存在が、奥羽山脈の地形を際立たせています。

火山フロントとは何か

火山フロントは、海溝から一定の距離で形成される火山列の最前線を指し、海溝と平行に分布します。
このラインは、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む際に発生する現象と関係しています。
奥羽山脈はこの火山フロントに沿って分布しています。

沈み込み帯でのマグマ形成

太平洋プレート(海洋プレート)が北米プレート(大陸プレート)の下に沈み込むと、地下深くで 脱水作用 が起こります。
この過程で、沈み込んだプレートから放出された水分が周囲のマントルに供給されます。

・水分の影響
水分が供給されることでマントル物質の融点が低下し、一部が溶融してマグマが生成されます。

・マグマの噴出
こうして生成されたマグマが地表に噴出し、奥羽山脈周辺の火山活動を引き起こします。
この火山活動が奥羽山脈の高い標高と険しい地形の形成に寄与しています。

現在も続く火山活動

奥羽山脈は火山フロントに位置するため、現在でも火山活動が活発です。
この継続的な活動によって周辺の山地と比べて標高が高く、起伏が大きい地形が維持されています。

2:褶曲山脈の隆起による地形形成

奥羽山脈はプレートの狭まる境界で形成された典型的な褶曲山脈です。
この地形形成には、褶曲という地質学的現象が大きく関与しています。

褶曲とは何か

褶曲とは、地層が横方向から圧縮を受けた結果、波状に曲がる現象を指します。
圧縮が強い地域では、褶曲に伴って地層の隆起が進行し、山脈の高度が増します。
こうした圧縮と隆起の繰り返しによって、奥羽山脈は大きな標高差を持つ高峻な地形を形成しました。

奥羽山脈における褶曲山脈形成

奥羽山脈は太平洋プレートが北米プレートに沈み込む狭まる境界に位置しており、このプレート同士の圧縮が特に強い地域です。
このため、地層の褶曲が顕著に進行し、山脈が大きく隆起しました。

3:地質的年代の違い

奥羽山脈が周囲の北上高地や出羽山地と比べて高峻である理由の一つに、地質的年代の違いがあります。

出羽山地や北上高地

北上高地や出羽山地は、奥羽山脈よりも形成された年代が古い地形です。
長い時間をかけて風化や侵食(外的営力)を受けた結果、なだらかで起伏の小さい地形となっています。
特に北上高地は、古生代や中生代に形成された地層が広がり、長期間の浸食による平坦化が顕著です。

奥羽山脈

奥羽山脈は比較的新しい地形であり、現在も地殻変動や火山活動による隆起が続いています。
これにより、外的営力による浸食が進んでいても、隆起のスピードがそれを上回るため標高が高く険しい地形を維持しています。

解答例

Z山脈は火山活動が活発で隆起が続く褶曲山脈であるため。(27文字)

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