アパルトヘイトの内容および撤廃された背景/東大世界史2021第２問・問３(ｂ)

「アパルトヘイトって具体的にはどんな内容なの？」
「アパルトヘイトが撤廃された背景を知りたい」
「世界でも稀な広範囲の人種隔離政策が南アフリカで行われた背景や経緯を教えて」

東大は世界史2021第２問・問３(ｂ)で、アパルトヘイトの内容とアパルトヘイトが撤廃された背景について３行（≒９０字）以内で説明させる問題を出題しました。

この記事では、以下のことについて解説しています。

• 南アフリカにおける白人支配のはじまり
• 南アフリカがイギリスの植民地となってから独立するまでの経緯
• 南アフリカでアパルトヘイトが成立してから撤廃されるまでの経緯

南アフリカの近代史も概観できる記事になっていますので、、是非最後までご覧ください。

講義

白人による支配が始まってからアパルトヘイトが撤廃されるまでの南アフリカ共和国の歴史を解説します。

オランダ人の入植（１７世紀後半）

１７世紀、オランダ人は東南アジアや東アジアに進出して貿易を積極的に行いました。

その際、ヨーロッパからアジアに向かう航路の中継地として南アフリカにケープ植民地を築きました。

ケープ植民地に入植したオランダ系の人々は後にブール人とよばれました。

イギリスによる植民地支配の開始（１９世紀初め）

ナポレオン戦争の混乱に乗じて、イギリスがケープ植民地を占領しました。

その後、ウィーン会議で正式にケープ植民地はイギリス領であることが認められました。

その後、イギリス人の入植者が増大してブール人を圧迫しはじめました。

ブール人たちはケープ植民地の北方に逃れてトランスヴァール共和国やオレンジ自由国を建国しました。

南アフリカ戦争（１９世紀末～２０世紀初め）

１９世紀後半にこれら２つの国内でダイヤモンド鉱が、１９世紀末にトランスヴァール共和国内で金鉱が発見されました。

ケープ植民地の首相セシル＝ローズはこれに目をつけ、この二国への侵略を画策します。

その後、イギリス本国の植民地相ジョゼフ＝チェンバレンはセシル＝ローズの拡張政策を引き継いで南アフリカ戦争をしかけます。
イギリスとトランスヴァール共和国・オレンジ自由国との戦争です。
したがって、植民地を舞台とした白人どうしの戦争であるといえます。

この戦争の結果、ケープ植民地がトランスヴァール・オレンジ両国を併合しました。

そして、イギリスはケープタウンとエジプトのカイロ・インドのカルカッタを結ぶ３C政策を固めることができました。

南アフリカ連邦の成立（1910年）

この時期、イギリスは植民地の管理を現地の白人入植者による自治政府に委ねはじめました。
イギリス本国の負担を軽減するためです。

そして、カナダ・オーストラリア・ニュージーランドに次いでケープ植民地にも自治が認められて南アフリカ連邦が成立しました。

南アフリカ連邦内にはケープ・トランスヴァール・オレンジ・ナタールの４州がありました。
つまり国内にイギリス人とブール人がいました。
激しい南アフリカ戦争を戦った両者の対立を緩和する必要があり、白人（イギリス人・ブール人）がアフリカ人を人種差別する政策が導入されることになりました。
これがアパルトヘイトの前身となります。

アパルトヘイトの開始（1940年代末）

第二次世界大戦後の南アフリカ連邦では、少数の白人が多数のアフリカ人を支配する構造を維持するために人種差別・隔離政策を強化しました。

こうして実行されたのがアパルトヘイトです。
支配層である少数派の白人による非白人やアフリカ系住民に対する人種隔離政策です。
具体的には、居住地を制限する・参政権などの市民権を奪うといった差別を行いました。

南アフリカ共和国の成立（1961年）

アパルトヘイトが国際的な批判を受けると、イギリスもアパルトヘイトの廃止を求めます。
すると、南アフリカ連邦を支配する白人たちは南アフリカ連邦のイギリス連邦からの離脱と南アフリカ共和国の建国を宣言します。

そして、アパルトヘイトをさらに強化していきました。

アパルトヘイトの撤廃（1990年代）

その後、アフリカ民族会議（ANC）による抵抗運動が激しくなりました。
冷戦が終結に向かうなかでアパルトヘイトに対する国際的な批判が高まると、国連による非難決議や各国による経済制裁が強化されたことでアパルトヘイトは撤廃されることになります。

白人政府のデクラークがアフリカ民族会議のマンデラを釈放し、アパルトヘイトの廃止が決まりました。
その後、全人種が参加した選挙によりマンデラが大統領となりアパルトヘイトは完全に撤廃されました。

答案作成

字数を気にせず書いてみる

支配層である少数派の白人が非白人やアフリカ系住民に対して行った人種隔離政策である。居住地を制限し、参政権などの市民権を奪った。国内におけるアフリカ民族会議の抵抗運動や冷戦が終結に向かうなかで国際的な批判が高まり各国の経済制裁が強化されたことで撤廃された。

１２７字です。
３８字ほど削る必要があります。

字数調整

支配層である少数派の白人が非白人やアフリカ系住民に対して行った人種隔離政策である。、居住地を制限し、参政権などの市民権を奪った。国内におけるアフリカ民族会議の抵抗運動や冷戦が終結に向かうのなかで国際的な批判が高まりや各国の経済制裁が強化されたことでまり撤廃された。

８９字です。

解答例・まとめ

今回の解答例は

とします。