【東大地理2020】ペルーの人々の食生活に占める動物性食品の割合がアルゼンチンやブラジルの人々と比べて低い理由|第2問設問A(3)

東大地理2020第2問設問A(3)ペルーの人々の食生活に占める動物性食品の割合がアルゼンチンやブラジルと比べて低い理由 東大地理

2020年の東大地理第2問A(3)では、ペルーの人々の食生活に占める動物性食品の割合がアルゼンチンやブラジルの人々と比べて低い理由を、「山岳地帯」「食文化」「農業」「民族構成」という語を用いて4行で説明する問題が出題されました。
この問題では、ペルーが持つ自然環境や社会的背景がどのように食生活に影響しているかを考察することが求められています。
本記事では、ペルーとアルゼンチン・ブラジルの比較を通じて、動物性食品の消費割合が低い理由を詳しく解説します。

執 筆 者
諏訪孝明

東京大学経済学部卒
1浪・東大模試全てE判定・センター7割台の崖っぷちから世9割、日8割、数2割で文科Ⅱ類に合格。
これまでに1000人以上の受験生を指導。 
直近2年で偏差値70超の学校への合格率が90%を超えている。

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講義:ペルーとアルゼンチン・ブラジルの動物性食品の消費割合の違い

アルゼンチン・ブラジルで動物性食品の消費割合が高い背景

アルゼンチンとブラジルでは、大西洋側に広がる広大な平地が動物性食品の消費割合を高くする大きな要因となっています。
この広大な平地では、企業的農業による肉類生産が盛んに行われています。

アルゼンチン

広大な草原であるパンパのうち、東部の湿潤パンパは農業や牧畜に適しており、豊富な降水量を活用して牧草や飼料作物の生産が進んでいます。
これらの条件が肉牛の飼育を支え、肉類の消費が食文化の一部となっています。
また、ヨーロッパ系白人入植者が多く住む地域だったため、彼らの肉食中心の食文化が子孫に受け継がれています。

ブラジル

1960年代はペルーと同程度の動物性食品の消費割合でしたが、その後の急速な経済成長に伴って肉類の消費が増加しました。
ブラジル高原で牧場開発が進み、肉牛の放牧や飼料作物(とうもろこし、大豆など)の大規模生産が可能となって企業的牧畜が広範囲で営まれるようになりました。
これにより動物性食品の生産量が増加し、国内での消費割合が高まりました。

ペルーで動物性食品の消費割合が低い背景

地形と気候

ペルーの大部分は太平洋沿岸の乾燥地帯と内陸のアンデス山脈で占められており、広大な耕地や牧草地には恵まれていません。
寒流の影響で海岸地帯は乾燥しており、農牧業に適さない土地が広がっています。
さらに、アンデス山脈の山岳地帯は乾燥帯や寒帯の気候が支配的であり、企業的な農牧業が難しい環境です。

民族構成と食文化

ペルーは先住民(インディオ)が国民の多数を占める国であり、山岳地帯に適応した自給的な農業が長く続いてきました。
特にじゃがいもは寒冷な気候でも栽培可能で、ペルーの伝統的な食文化を支える重要な作物です。
このような先住民を中心とする伝統的な食文化が、動物性食品の消費を抑える要因となっています。

経済発展の度合い

ペルーはブラジルやアルゼンチンに比べて工業化が遅れています。
その結果、肉類のような割高な食品の消費が一般化していません。
これもペルーで動物性食品の消費割合が低いことの要因になっています。

ブラジル・アルゼンチンとペルーの比較表

項目ブラジル・アルゼンチンペルー
地形広大な平地がある山岳地帯が多い
民族構成ヨーロッパ系白人中心先住民が多い
農業企業的農業中心自給的農業中心
食文化肉類の消費が多いじゃがいも中心

解答例

ペルーは山岳地帯が多く、平地の多い7や8とは異なり企業的農業や牧畜業が発達していない。白人比率が7や8と比べて低く、先住民中心の民族構成なのでじゃがいも中心の伝統的な食文化が維持されていて自給的農業中心となっており肉類の消費割合が低い。(118文字)

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