【東大地理2022】みかん、りんご、なし、うめの都道府県別収穫量の上位都道府県|第3問設問B(1)

東大地理2022第3問設問B(1)みかん、りんご、なし、うめの都道府県別収穫量の上位都道府県 地理

2022年の東大地理第3問設問B(1)では、みかん、りんご、なし(日本なし)、うめの都道府県別収穫量上位の県名を答える問題が出題されました。

この記事では、それぞれの果樹の栽培に適した自然環境と主要な生産地について詳しく解説します。

執 筆 者
諏訪孝明

東京大学経済学部卒
1浪・東大模試全てE判定・センター7割台の崖っぷちから世9割、日8割、数2割で文科Ⅱ類に合格。
これまでに1000人以上の受験生を指導。 
直近2年で偏差値70超の学校への合格率が90%を超えている。

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講義

果樹栽培に適している自然環境

①水はけのよい土地
水はけが良い土地は果樹の根腐れを防ぎ、根が健康に育ちます。
山の斜面や丘陵地、扇状地は果樹栽培に適しています。

②ほどよく降水量が少ない
降水量が少なめの地域は、果実が病気にかかりにくく、品質が安定します。
山地などに囲まれて季節風の影響が少ない地域は降水量が少なくなりやすいです。

代表的な地域

  • 中央高地(山梨県・長野県):山地に囲まれ、季節風の影響が少ない。
  • 瀬戸内海沿岸(愛媛県・香川県など):温暖で降水量が少ない。

③昼と夜の気温差が大きい
昼間は光合成によって糖分が作られ、夜は気温が下がることで糖分の消費が抑えられます。
そのため、昼夜の気温差が大きい地域では果物が甘くなります。

代表的な地域

  • 中央高地(山梨県・長野県):海に面していないため、昼夜の気温差が大きい。
  • 内陸部の盆地:日中の気温が高く、夜は放射冷却で気温が下がる。

ポイントのまとめ

①水はけの良い傾斜地(山の斜面・扇状地)
②降水量が少ない地域(内陸部・瀬戸内海沿岸)
③昼夜の気温差が大きい地域(内陸盆地・中央高地)

これらの条件が揃う地域は、果樹栽培に最適な環境を提供します。

みかんの栽培に適した環境と収穫量の多い都道府県

みかんの栽培に適した環境

みかんは温暖な気候と水はけの良い傾斜地が必要な果樹です。

①気候条件

  • 温暖で冬の寒さが厳しくない地域(西日本の太平洋側など)。
  • 黒潮(暖流)の影響を受ける地域が多い。
  • 長い日照時間と降水量が適度な地域。                     

②地形条件

  • 山の斜面や丘陵地が主な栽培地。
  • 傾斜地は水はけが良く、日当たりも確保できるため、果実が甘くなりやすい。
  • 山がちな地形を利用して段々畑として整備されることが多い。

収穫量の多い都道府県

以下の地域は、みかんの栽培が盛んな代表的な都道府県です。

① 和歌山県
  • 紀伊山地の傾斜地を活かした栽培が盛ん。
  • 温暖な気候と水はけの良い土地が特徴。
② 愛媛県
  • 山地や丘陵地が多く、耕地面積に占める田の割合が低い。
  • 段々畑を活用し、みかんや柑橘類が広く栽培されている。
  • 日照時間が長く、穏やかな気候で栽培条件が良い。
③ 静岡県
  • 温暖な太平洋側気候と丘陵地を利用して栽培。
  • 海岸沿いの傾斜地(南向き斜面)が活用されている。
  • 温暖な冬と日照時間がみかん栽培に適している。

りんごの栽培に適した環境と収穫量の多い都道府県

りんごの栽培に適した環境

りんごは冷涼な気候を好み、特に以下の条件が揃う地域で栽培が盛んです。

①冷涼な気候

  • りんごは寒さに強く、寒冷な地域での栽培が適している。
  • 夏の暑さが厳しくなく昼と夜の気温差が大きいほど、甘みのあるりんごになる。

②地形条件

  • 水はけの良い土地が必要なため、扇状地や山間の傾斜地が適している。
  • 山地に囲まれた盆地周辺には扇状地が多く、これが果樹栽培に利用されている。

収穫量の多い都道府県

りんごの収穫量が多い代表的な都道府県は以下の通りです。

①青森県

日本一のりんご生産地であり、国内の収穫量の約50%を占めます。
津軽地方を中心に栽培されており、冷涼な気候と山地の傾斜地がりんご栽培に最適です。
「ふじ」「王林」「つがる」など有名な品種が栽培されています。

②長野県

中央高地の冷涼な気候と、水はけの良い扇状地がりんご栽培に適しています。
長野盆地を中心に、山間部や丘陵地で栽培が盛んです。
夏の昼夜の気温差が大きく、果実の甘みが増します。

なし(日本なし)の栽培に適した環境と収穫量の多い都道府県

なしの栽培に適した自然環境

日本なしは以下の自然条件が揃う地域で栽培が盛んです。

① 排水性の良い土壌
なしは根が浅く、水はけの良い土地を好みます。
火山灰土壌や砂質土壌が適しており、これが広がる地域で栽培が発展しました。
② 温暖な気候
なしの生育期間に気温が高い地域が栽培に適しています。
関東平野や山陽地方などが代表的です。
③ 降水量が少なめ
降水量が多すぎると果実が腐敗しやすくなるため、適度な降水量が求められます。

収穫量の多い都道府県

①千葉県

日本一の生産量を誇る主要な産地です。
千葉県の土壌は火山灰土壌で、排水性が良く肥沃であることが梨栽培に適しています。
「二十世紀梨」の発祥地としても有名で、歴史的な背景もあります。

②茨城県

千葉県に次ぐ主要な産地で、関東地方の火山灰土壌を活かしています。

③鳥取県

かつて日本一の生産量を誇り、現在でも代表的な産地です。
「二十世紀梨」の生産が有名で、特に鳥取砂丘周辺の砂地を活用しています。

うめの栽培に適した環境と収穫量の多い都道府県

うめの栽培に適した自然環境

① 温暖な気候
うめは比較的温暖な気候で栽培されやすいです。
② 水はけの良い土地
水はけの良い傾斜地や丘陵地が栽培に適しており、根腐れのリスクが少ない土地で生産が盛んです。

収穫量の多い都道府県

①和歌山県

全国第1位の生産量を誇り、うめの栽培地として最も有名です。
特に「南高梅(なんこううめ)」が有名で、和歌山県のブランド品として全国的に流通しています。
紀伊山地の温暖な気候と水はけの良い傾斜地を活かして栽培されています。

解答例

アー和歌山県、イー長野県、ウー千葉県

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