【東大地理2023】日本において非木造住宅の割合が上昇してきた理由|第3問設問B(3)

東大地理2023第3問設問B(3)日本において非木造住宅の割合が上昇してきた理由 地理

2023年の東大地理第3問設問B(3)では、「日本で非木造住宅の割合が上昇してきた理由」を、日本における人口移動の特徴も踏まえて2行(≒60文字)で説明する問題が出題されました。

この記事では、非木造住宅が増加した理由として以下のポイントについて詳しく解説します。

  • 大都市圏への人口集中
  • 非木造住宅の建設を可能にした技術
  • 非木造住宅への社会的要請
執 筆 者
諏訪孝明

東京大学経済学部卒
1浪・東大模試全てE判定・センター7割台の崖っぷちから世9割、日8割、数2割で文科Ⅱ類に合格。
これまでに1000人以上の受験生を指導。 
直近2年で偏差値70超の学校への合格率が90%を超えている。

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講義:日本で非木造住宅が増加した理由

都市における中高層住宅の増加

1:大都市圏への人口集中

日本では高度経済成長期以降、地方から三大都市圏(東京、大阪、名古屋)への人口流入が加速しました。
この動きは、都市部での雇用機会や教育機会を求めた移動に起因しています。
特に都市部では人口過密が進行し、住宅不足や地価の高騰といった課題が顕在化しました。
このため、一時は郊外の住宅地開発が積極的に進められました。
しかし、1990年代前半のバブル経済崩壊後に都市部では再び都心回帰の動きが顕著となります。

2:都心回帰と再開発の進行

バブル崩壊後、都市部の地価は下落しました。
この地価下落を背景に駐車場や更地となっていた都心の土地で再開発が進行し、高層マンションなどの非木造住宅の建設が活発化しました。
これに伴い、利便性が高い都市部への人口回帰が進みました。
特に、公共交通機関や商業施設、医療機関などのインフラが整備された都心部は住む場所としての魅力を増し、都心回帰を加速させる要因となりました。

3:土地不足と垂直的利用の必要性

都市部では地価が下落したとはいえ依然として全国的に見て高水準でした。
そこで、土地を垂直的に利用する中高層集合住宅の建設が進みました。
高層集合住宅は限られた土地に多くの住居を収めることができ、都市部の住宅需要に応える効率的な手段となりました。

4:非木造住宅の採用による高層化

中高層集合住宅の建設には、耐震性・耐火性に優れた鉄筋コンクリートや鉄骨造の非木造住宅が多く採用されました。
これにより高層化が可能となり、都市部の人口集中に対応した住宅供給が進みました。
特に、東京の湾岸地域などでは容積率を最大限活用した再開発が進み、多数の高層マンションが建設されるなど都市空間の効率的利用が図られました。

非木造住宅の建設を支える技術と社会的要請

1:高層建築技術の進歩

非木造住宅が増加する背景には、建築技術の進歩が大きく寄与しています。
特に、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の技術が進化したことで高層マンションや集合住宅が安全かつ効率的に建設できるようになりました。
これにより、都市部における土地の垂直的利用が現実のものとなり、限られた土地でより多くの人が居住できるようになりました。
技術の進展は、都市部での人口集中に対応するための不可欠な要素です。

2:耐震性・耐火性の向上

日本は地震や火災のリスクが高い国です。
このため、住宅には高い耐震性や耐火性が求められます。
鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物は木造住宅に比べてこれらの性能が高く、災害リスクを軽減することが可能です。
特に都市部では、密集した住宅環境の中で火災や地震への対応が重要視されるため、非木造住宅が選ばれる傾向があります。

解答例

大都市圏に人口が集中し、地価高騰により土地を効率的に利用できる中高層集合住宅が耐震・耐火性への注目もあり増加したから。
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