【東大地理2023】北海道と沖縄県の都市部で平らな屋根の住宅が多く見られる理由|第3問設問B(2)

東大地理2023第3問設問B(2)北海道と沖縄県の都市部で平らな屋根の住宅が多く見られる理由 地理

2023年の東大地理第3問設問B(2)では、「北海道と沖縄県の都市部で平らな屋根の住宅が多く見られる理由」を、それぞれの気候条件に関連づけて2行(≒60文字)で説明する問題が出題されました。

この記事では、以下のポイントについて詳しく解説します。

  • 北海道の都市部で平らな屋根の住宅が多い理由
  • 沖縄県の都市部で平らな屋根の住宅が多い理由

執 筆 者
諏訪孝明

東京大学経済学部卒
1浪・東大模試全てE判定・センター7割台の崖っぷちから世9割、日8割、数2割で文科Ⅱ類に合格。
これまでに1000人以上の受験生を指導。 
直近2年で偏差値70超の学校への合格率が90%を超えている。

諏訪孝明をフォローする
公式LINEでは、国公立大学2次試験の世界史・日本史・地理の論述を攻略するために必須な超有益情報を発信しています。ぜひ友達追加してください!

講義

北海道の住宅の特徴

北海道は冬季に多くの降雪がある豪雪地帯であり、雪が大きな生活課題となります。
これに対処するため、伝統的な北海道の住宅は三角屋根が主流でした。
しかし、都市化が進むにつれて近隣住宅との距離が縮まったため、落雪による事故や隣家への雪の影響を防ぐために、平らな屋根(無落雪屋根)の住宅が増えてきました。

無落雪屋根の採用

平らな屋根の住宅は、積雪した雪が自然に滑り落ちることを防ぎ、屋根の上に雪を積もらせたままにすることで、落雪による事故を防ぐ設計が特徴です。
雪が人や物に直撃すると大きな事故につながるため、無落雪屋根は住宅にとって重要な安全対策となっています。

平らな屋根による除雪作業の安全性確保

無落雪屋根は、除雪作業中の転落事故を防ぐ役割も果たします。
屋根が平らであれば、除雪の際に屋根から滑り落ちる危険性を減らすことができ、冬季の除雪作業がより安全に行えるようになります

沖縄県の住宅の特徴

沖縄県は、その独特な気候と災害リスクに対応して平らな屋根の住宅が多く見られます。
この設計には、風や雨などの自然災害への備えが反映されています。

平らな屋根の台風への耐久性

沖縄県は台風が頻繁に通過する地域であり、強風や豪雨に備えるために平らな屋根が選ばれるようになりました。
屋根に勾配をつけると風を受ける面積が増えて耐風性が弱まり、台風時に瓦の飛散や家屋の損壊のリスクが高まります。
平らな屋根は、風を受け流し、台風の被害を最小限に抑える効果があります。

渇水対策と平らな屋根

沖縄県では水資源が限られており、渇水が問題となることがあります。
平らな屋根は貯水槽を設置するのに適しており、雨水を効率的に収集して生活用水として活用することが可能です。

屋根の材料と高温多湿な気候への適応

沖縄の伝統的な家屋の屋根には琉球瓦やサンゴ石灰を使用したしっくいが施されており、これが雨水を吸収した後の蒸発による気化熱で室内を涼しく保つ効果を発揮しています。
この設計は高温多湿の気候に適応したものです。

防風林や石垣による保護

沖縄の住宅は周囲を防風林や石垣で囲むことで、台風の風や飛来物から家屋を守る工夫もされています。

解答例

北海道は屋根からの落雪事故を防ぎ除雪作業の安全性確保のため、沖縄は台風の強風による瓦の飛散で生じる事故などを防ぐため。
(59文字)

タイトルとURLをコピーしました