【東大地理2023】今日の水産物の養殖業が持続性において抱えている課題とその解決のための取り組み|第2問設問A(4)

東大地理2023第2問設問A(4)水産物の養殖業が持続性において抱えている課題とその解決のための取り組み 地理

2023年の東大地理第2問設問A(4)では、水産物の養殖業が持続性において抱えている課題とその解決のための取り組みについて、「稚魚」「生態系」の2語を用いて2行(≒60文字)で説明させる問題が出題されました。

この記事では、以下のポイントを詳しく解説します。

  • 養殖業の課題
  • 栽培漁業

この記事を通じて、養殖行の課題とその解決策としての栽培漁業について理解しましょう。

執 筆 者
諏訪孝明

東京大学経済学部卒
1浪・東大模試全てE判定・センター7割台の崖っぷちから世9割、日8割、数2割で文科Ⅱ類に合格。
これまでに1000人以上の受験生を指導。 
直近2年で偏差値70超の学校への合格率が90%を超えている。

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講義

養殖業の課題

養殖場造成による森林破壊

養殖場建設のために沿岸部の森林やマングローブ林が伐採されるケースがあります。
特に東南アジアの国々では、えび養殖のための施設開発が原因でマングローブ林が激減しています。
マングローブ林の消失により、沿岸の防災機能や海洋生態系が大きく損なわれています。

餌となる小魚の大量漁獲

養殖魚の成長を促進するための飼料として、小魚が大量に漁獲されています。
小魚の過剰漁獲により海洋生態系が崩れ、食物連鎖のバランスが乱れています。

薬品や餌の過剰投与による海洋汚染

養殖場で使用される薬剤や餌の過剰投与が周辺の海域に有害物質を流出させ、水質汚染の原因となっています。
養殖場が密集する地域では、水質の悪化により魚病の発生や生態系の破壊が進行しています。

持続可能な養殖業の未来

持続可能な養殖業を実現するための取り組みを紹介します。

  • 環境配慮型の養殖技術の導入
  • 環境負荷を軽減した養殖管理
  • 国際的な規制と協力

環境に配慮した養殖技術としては、マングローブ林を守るための養殖場設計や天然資源に依存しない飼料(昆虫飼料など)の開発が挙げられます。
また、環境負荷を軽減した養殖管理には養殖場の水質モニタリングや、薬剤使用量の最適化などがあります。
そして、国際的な規制と協力とは水産資源の持続可能性を確保するための国際ルールの策定などです。

栽培漁業

栽培漁業とは、人工的に孵化させた稚魚や稚貝を自然環境(海や川)に放流し、成長後に再び捕獲する漁業のことです。

栽培漁業の目的:水産資源の保護

栽培漁業は水産資源を保護し、漁業を持続可能にするために推進されています。

  • 乱獲による天然資源の枯渇を防ぎ、水産資源の持続可能な利用を目指します。
  • 人工的に資源を補充することで、天然漁業にかかる負担を軽減します。

栽培漁業の課題

  • 稚魚の生存率:放流後、稚魚が天敵に捕食されることや、環境変化に耐えられないことがあります。
  • コスト:稚魚の孵化・育成にはコストがかかります。
  • 放流による影響:放流された魚が野生の魚と競争や交雑し、生態系に予期せぬ影響を与える可能性があります。

解答例

餌や薬剤の投与で水質汚染や生態系破壊が進んだため、孵化した稚魚を放流して成長した後に捕獲する栽培漁業を推進している。
(58文字)

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