【東大地理2023】1950年代の地層中に放射性物質のピークが現れる理由|第1問設問A(3)

東大地理2023第1問設問A(3)1950年代の地層中に放射性物質のピークが現れる理由 地理

2023年の東大地理第1問設問A(3)では、「1950年代の地層中に放射性物質のピークが現れる理由」について1行(約30文字)以内で説明する問題が出題されました。

この記事では、その背景を深く理解するために以下のポイントを詳しく解説します。

  • 第二次世界大戦後の核開発競争
  • 1960年代の部分的核実験禁止条約
  • 1990年代の包括的核実験禁止条約
執 筆 者
諏訪孝明

東京大学経済学部卒
1浪・東大模試全てE判定・センター7割台の崖っぷちから世9割、日8割、数2割で文科Ⅱ類に合格。
これまでに1000人以上の受験生を指導。 
直近2年で偏差値70超の学校への合格率が90%を超えている。

諏訪孝明をフォローする
公式LINEでは、国公立大学2次試験の世界史・日本史・地理の論述を攻略するために必須な超有益情報を発信しています。ぜひ友達追加してください!

講義:核開発競争と放射性物質

1:第二次世界大戦後の核開発競争

1945年にアメリカが広島と長崎に原爆を投下し、第二次世界大戦は終結しました。
しかし、戦後は新たな国際対立の時代が到来します。
アメリカ合衆国を中心とする資本主義陣営とソビエト連邦を中心とする社会主義陣営の冷戦構造が形成され、両陣営は軍事力の優位を確立するために核兵器の開発と保有を競い合いました。

1949年にソ連は初の核実験に成功し、核保有国となります。
その後、1952年にはイギリスも核保有国となりました。
これを契機に複数の国で核開発が進展し、1950年代には核実験が頻繁に行われるようになりました。
この時期に核実験によって放射性物質が大気中に放出され、地球全体に拡散して地層中にその痕跡が残ることになります。

2:部分的核実験禁止条約

1963年にアメリカ、イギリス、ソ連は部分的核実験禁止条約(PTBT)に調印し、大気中・宇宙空間・水中での核実験を禁止しました。
この条約の発効により放射性物質の大気中への拡散は減少しましたが、地下核実験は引き続き許可されていました。フランスや中国はこの条約に参加しなかったため、それらの国では引き続き大気中核実験が行われました。

3:包括的核実験禁止条約

1996年に国連総会は包括的核実験禁止条約(CTBT)を採択し、すべての環境での核実験を禁止することとしました。
しかし、この条約は一部の主要国、特にアメリカなどが批准していないため、未だ発効していません。
1996年以降もインド、パキスタン、北朝鮮などが核実験を行っていますが、核実験の回数は冷戦終結前と比べると大幅に減少しています。

解答例

冷戦により核開発競争がおこり、核実験が各地で行われたから。
(29文字)

タイトルとURLをコピーしました