2024年の東大地理第2問設問A(2)(3)では、大陸別・高度別面積割合に関する問題が出題されました。
この問題を解くには、アジア、ヨーロッパ、オーストラリアの高度別面積の割合とその背景に関する知識が必要です。
この記事では次のポイントについて詳しく解説します。
- 各大陸の高度別面積割合の特徴
- その特徴が生じる地形や歴史的な地殻変動の背景
これらの内容を理解することで、大陸別・高度別の地理的特徴をしっかりと把握しましょう。
資料の読み取り:図2-2ある高度よりも下にある土地の面積の比率
図2ー2 には各大陸のある高度以下の土地面積の割合が示されており、大陸ごとに特徴的な高度分布が見られます。
以下のような判断材料を使って、大陸を識別します。
ウ
問題文で「アフリカ大陸を表している」と明示されています。
カ
問題文で「アフリカ大陸を表している」と明示されています。
ア
設問A(3)に「アの大陸は、他の5つの大陸に比べて標高が高い土地の面積が大きい」と書いてあります。
この特徴から、標高が高いエリアの割合が高いアジアと判断できます。
エ
設問A(4)に「エとオの大陸は、共に標高500m以下の陸地の面積比率が他の大陸より大きい」という記述があります。
ア・ウ・カが既に確定しているため、残る候補は「オーストラリア」「南アメリカ」「ヨーロッパ」です。
ここで、エは標高200m未満の土地面積が最も大きい大陸であることからヨーロッパであると判断できます。
オ
設問A(4)に「エとオの大陸は、共に標高500m以下の陸地の面積比率が他の大陸より大きい」という傷うつがあります。
残る候補は「オーストラリア」「南アメリカ」で、平均高度の低いオーストラリアであると判断します。
イ
他のすべての大陸が確定したため、消去法でイは南アメリカを指していると判断します。
講義:大陸別・高度別面積割合
アジアの高度別面積割合の特徴
アジアは世界最高峰であるエベレストをはじめとするヒマラヤ山脈やチベット高原など、高度が非常に高い地域を有しています。
このため、アジアの4000~5000mおよび5000m以上の地域の面積割合は他の大陸と比較して特に高く、平均高度も南極大陸に次いで高いです。
アジアの高度が高い理由は、地質活動にあります。
アジアには新期造山帯がプレートが狭まる境界付近に沿って横長に広く分布しており、インド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートに衝突して押し上げられる形で高山地帯が広範囲に形成されています。
この影響でヒマラヤ山脈やチベット高原などが形成され、標高の高い山脈や高原の割合が非常に高いのが特徴です。
アフリカ大陸の高度別面積割合の特徴
アフリカ大陸は全体的に台地状の地形をもち、標高200〜1000mの中高度の台地が大部分を占めています。
これは、かつてのゴンドワナ大陸の一部であった安定陸塊が広く展開しているためです。
具体的には、アフリカ楯状地が多くを占めており200m未満の低地の割合が10%未満と少なく、逆に200~1000mの標高の土地が70%近くにのぼります。
したがって、全体的に高原のような地形が広がり、平坦な低地の割合は極めて小さい大陸です。
台地状の地形により海岸近くまで急な崖が形成されており、河川が海に流れ出るところで急流や滝が発生します。
これは、海と内陸を行き来する水運において航行の障害となってきました。
例えば、赤道付近を流れるコンゴ川の下流には滝が連続しているため海からの船舶が遡って航行することができません。
ヨーロッパの高度別面積割合の特徴
ヨーロッパは標高200m未満の低地が広い割合を占めており、全体の50%以上が低地となっています。
これは、ヨーロッパ北部のバルト楯状地や東部に広がる東ヨーロッパ平原などの安定陸塊や構造平野が大きく面積を占めているためです。
低地の広がりによって河川の勾配は緩やかになります。
このため、河川は自然の交通路としても利用されやすくなり物流が発展しやすく、その影響で商業も発展しやすい地形となっています。
オーストラリア大陸の高度別面積割合の特徴
オーストラリア大陸はかつてのゴンドワナ大陸に属する安定陸塊で構成されており、平均高度が低いのが特徴です。新期造山帯の山脈がほとんど存在しないため、起伏の少ない平坦な地形が広がります。
これにより、ヨーロッパと並んで世界の大陸の中で最も平均高度が低い大陸の一つとなっています。
オーストラリア東部には古期造山帯に属するグレートディヴァイディング山脈があり、これは大陸の中で数少ない山地の一つです。
ただしこの山脈は標高が1000〜2000m程度と新期造山帯に比べて低いため、大陸全体の平均高度にはあまり大きな影響を及ぼしません。
南アメリカ大陸の高度別面積割合の特徴
南アメリカ大陸には環太平洋造山帯が分布し、新期造山帯のアンデス山脈が大陸の西側を縦断しています。
この山脈は世界でも有数の高地を形成し、標高3000m以上の高地が多く存在するため南アメリカの高度別面積割合に大きな影響を与えています。
アンデス山脈には標高が高い高山都市(例:ボリビアのラパス、エクアドルのキトなど)が点在しており、生活や文化にも独自の特徴が見られます。
南アメリカは標高3000m以上の高地面積の割合がアジアに次いで2番目に多い大陸です。
アンデス山脈によって、他の大陸と比較して高地の割合が際立っています。
北アメリカ大陸の高度別面積割合の特徴
北アメリカ大陸は標高3000m以上の高地の割合がアジア、南アメリカに次いで3番目に多い大陸です。
特に西部にそびえるロッキー山脈が高地を形成しており、大陸の高度別面積割合に影響を与えています。
また、中央アメリカは環太平洋造山帯に属する新期造山帯の一部であり、山がちで標高の高い地域が多く、北アメリカ大陸の中でも高度の高い部分を形成しています。
南極大陸の高度別面積割合の特徴
南極大陸は全土が厚い大陸氷河に覆われているため、全大陸の中で最も平均高度が高いという特徴があります。
この氷床は場所によっては数千メートルの厚さがあり、これが大陸全体の標高を押し上げています。
南極大陸の標高は全大陸の中で最も高く、平均標高は2,000mを超えます。
解答例
(1)
アーアジア
イー南アメリカ
エーヨーロッパ
オーオーストラリア
(2)
新期造山帯が広範囲に分布し、標高の高い山脈の割合が高い。
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