【東大地理2024】日本のエネルギー資源確保の観点からみた天然ガスの特徴(石油と比較しながら)|第1問設問B(4)

東大地理2024第1問設問B(4)日本のエネルギー資源確保の観点からみた天然ガスの特徴(石油と比較しながら) 地理

2024年の東大地理第1問設問B(4)では、日本のエネルギー資源確保の観点からみた天然ガスの特徴について、石油と比較しながら3行(約90字)以内で述べる問題が出題されました。
この問題を解くには、日本のエネルギー安全保障における課題や石油と天然ガスの輸入先の特徴を理解することが重要です。

この記事では以下のことについて詳しく解説します。

  • 日本のエネルギー安全保障の現状と課題
  • 石油と天然ガスの輸入先の特徴
  • 日本のエネルギー政策上の天然ガスの役割

これらの知識を整理することで、日本のエネルギー資源の安定確保における課題と天然ガスの特性を理解しましょう。

執 筆 者
諏訪孝明

東京大学経済学部卒
1浪・東大模試全てE判定・センター7割台の崖っぷちから世9割、日8割、数2割で文科Ⅱ類に合格。
これまでに1000人以上の受験生を指導。 
直近2年で偏差値70超の学校への合格率が90%を超えている。

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資料の読み取り

図1-3:天然ガスの年間生産量

天然ガスは中東だけでなく、北米やロシア、アジア太平洋地域でも広く生産されています。
一方、石油は中東に偏在しています。
特に日本は石油の多くを中東からの輸入に依存しています。
この天然ガスと石油の違いにより、天然ガスは供給の安定性が高い資源として注目されています。

図1-4:LNG(液化天然ガス)の輸出入の量

日本を含むアジア太平洋地域(ウ)は、ア~キの全地域から多くのLNG(液化天然ガス)を輸入していることがわかります。
このことから、天然ガスは石油と比較して供給先が多様化しているため供給の安定性が高い資源であるといえます。

講義:日本のエネルギー安全保障における天然ガスの重要性

日本はエネルギー資源の大半を海外から輸入しているため、安定的なエネルギー確保が安全保障上の課題となっています。
とくに化石燃料は一部の地域に偏在しており、供給国との交渉や他の消費国との駆け引きや国際政治情勢の影響を受けやすいという特徴があります。
このような背景から、エネルギー資源の輸入国である日本にはエネルギー供給の安定性を高めるための多角的な取り組みが求められています。

資源確保の課題と日本の対策

エネルギー資源の安定確保には、供給国の政治・経済の安定性や鉱山権益をめぐる多国間での競争といった不確定要素が多く影響します。
特に近年では経済成長著しい新興国の需要が急増しており、供給が逼迫するなかで競争が激化しています。
これにより資源価格が上昇しており、日本企業にとって価格交渉が難しい状況が続いています。

日本は、こうした状況を踏まえエネルギー源の種類と供給国の多様化を進めて資源確保のリスク分散に努めています。
例えば総合商社などの日本の企業が産出国における液化天然ガス(LNG)プロジェクトに投資し、採掘・輸送・精製に関与することで供給安定性を高めています。

石油と天然ガスの供給の違い

1973年の石油危機以降、日本は省エネルギーの推進や石油備蓄とともにエネルギー源の多様化を進め、原子力や天然ガスへの依存度を増やしてきました。

石油

日本は石油の多くを中東から輸入しています。
石油の埋蔵地が西アジアに偏在しているため中東依存度が高く、政情の不安定さがリスク要因となっています。
中東は世界の原油埋蔵量の約50%を占め、輸出余力も豊富ですが供給に不安が伴います。

天然ガス

一方、天然ガスは北米、ロシア、アジア太平洋地域など多様な地域で産出しており、石油に比べ供給の安定性が高い資源です。
日本はオーストラリア、マレーシア、カタール、ロシアなど様々な地域の国から液化天然ガス(LNG)を輸入しています。

まとめ:日本のエネルギー安全保障における天然ガスの位置づけ

日本は世界有数の天然ガス輸入国であり、国内のエネルギー需要を賄うために多様な国からLNGを輸入しています。
天然ガスの供給は中東依存が高い石油に比べてリスク分散が図りやすく、安定供給の観点で重要な役割を担っています。

解答例

中東からの輸入に依存する石油に比べ、天然ガスは多様な地域から輸入しており供給の安定性が高い。海外からの輸入に依存しており、石油と同様に備蓄や代替エネルギー確立が課題である。
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