【東大地理2024】中国、ナイジェリア、パキスタン、フィンランドの食生活の特徴とカロリー供給源の違いを解説|第1問設問A(1)

東大地理2024第1問設問A(1)中国、ナイジェリア、パキスタン、フィンランドの1人1日あたり供給されるカロリーの食品内訳 地理

2024年の東大地理第1問設問A(1)では、中国、ナイジェリア、パキスタン、フィンランドの1人1日あたりの供給カロリーの食品内訳を示した円グラフを読み取り、各国を特定する問題が出題されました。
食生活は各国の文化や経済状況、気候、歴史などが反映されるため、この問題は単に数値データを読むだけではなく、その背後にある国ごとの特色を理解することが求められます。

この記事では以下の4つの国の食生活の特徴を背景とともに解説し、円グラフの読み取り方のポイントを紹介します。

  • 中国の食生活の特徴
  • ナイジェリアの食生活の特徴
  • パキスタンの食生活の特徴
  • フィンランドの食生活の特徴

この解説を通じて単なる知識の暗記ではなく、各国の食文化の背景や因果関係を理解し記述・論述問題への応用力を高めましょう。

執 筆 者
諏訪孝明

東京大学経済学部卒
1浪・東大模試全てE判定・センター7割台の崖っぷちから世9割、日8割、数2割で文科Ⅱ類に合格。
これまでに1000人以上の受験生を指導。 
直近2年で偏差値70超の学校への合格率が90%を超えている。

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図表の読み取り

まず、今回の問題で示された2つの図表を確認してみましょう。

図1-1:乳糖耐性のある成人の割合

  • フィンランド、パキスタンの成人はほぼ100%が乳糖耐性がある
  • 中国、ナイジェリアの成人は乳糖耐性が低め

図1-2:1人1日あたり供給されるカロリーの食品内訳を示した円グラフ

円グラフAの読み取り

牛乳・乳製品の割合が大きい
円グラフAでは、牛乳・乳製品の供給割合が他のグラフ(BやD)と比べて明らかに大きくなっています。
これは、乳糖耐性のある成人の割合が高い国であることを示唆しています。
図1-1から、フィンランドやパキスタンが乳糖耐性が高い国とされているため、この点は重要な手がかりとなります。

穀類の割合が低い
穀類の供給割合が他の円グラフと比べて低く、主食が穀類だけではない傾向を示しています。
これは、穀類が主食である中国やパキスタンと異なる特徴です。

肉類・卵・魚介類や砂糖・油脂類の割合が高い
経済的に豊かな国ほど、動物性食品や油脂類の消費割合が高くなる傾向があります。
円グラフAでは、肉類や砂糖・油脂類の割合が他のグラフに比べて高いことがわかります。
これは先進国の食生活の特徴です。

円グラフBの読み取り

穀類の割合が大きい
円グラフBでは、穀類がカロリー供給源の中で大きな割合を占めており約半分近くを占めています。
これは、穀類が主食である国を示しています。

牛乳・乳製品の割合が小さい
円グラフBでは、牛乳・乳製品の割合がAやCに比べて小さいことがわかります。
これは、乳糖耐性のある成人が少ない国の特徴です。
図1-1によれば中国やナイジェリアは乳糖耐性の成人が少ないため、乳製品の消費も少ないだろうと予想できます。

円グラフCの読み取り

穀類の割合が大きい
円グラフCでは穀類がカロリー供給源の大部分を占めており、半分近くに達しています。
これは、穀類が主食である国を示しています。

牛乳・乳製品の割合が大きい
円グラフCは牛乳・乳製品の割合も比較的多いことが特徴です。
これは、乳糖耐性のある成人の割合が高い国であることを示しています。

円グラフDの読み取り

イモ・豆類の割合が大きい
円グラフDでは、イモ類や豆類がカロリー供給源の中で大きな割合を占めています。
これは、イモ類や豆類を主食とする国の特徴です。
ナイジェリアでは、キャッサバやヤムいもなどのイモ類が主食として重要な役割を果たしています。

講義

中国の食生活

中国の食生活は広大な国土と多様な気候条件、そして多民族国家であることから地域ごとに独自の特色を持っています。

地域ごとの食文化の違い

南部(華南地方)

南部の気候は温暖湿潤で、米が主食として広く栽培されています。
米を使った料理(白米、粥、米粉を使った麺類など)が日常的に食べられています。

北部(華北地方)

北部は寒冷で乾燥しているため、小麦を主食とする食文化が発達しました。
ここでは、麺類やマントウ、水餃子などが主に食べられています。

西部

西部地域は、特に新疆ウイグル自治区などの乾燥した気候が広がるため、羊肉を使った料理が発展しています。
この地域ではイスラム文化の影響もあり、ハラール食品も特色となっています。

経済発展による食生活の変化

近年中国は急速な経済成長を遂げており、それに伴い食生活が大きく変化しています。

所得の上昇に伴い、かつては贅沢品とされていた肉類や乳製品の消費が増えています。
以前は穀物(米や小麦)が食生活の中心でしたが、現在では野菜や果物さらには魚介類の消費も増加しています。
健康志向の高まりや豊かな食材が手に入るようになったことで、食事が多様化しています。

ナイジェリアの食生活

ナイジェリアでは、南部を中心にキャッサバやヤムいもといったイモ類が主食として消費されています。
北部ではトウモロコシの栽培が盛んです。

パキスタンの食生活

パキスタンでは、小麦が主食として広く消費されています。
小麦粉を使ったパン類が日常的に食べられており、特にチャパティやナンといったパンが一般的です。
これらのパンをカレーなどと一緒に食べるのが一般的な食習慣です。

パキスタンの食文化において重要な調理器具の一つが、タンドール(焼き窯)です。
タンドールは円筒形の窯で、高温に熱せられた窯の内側にパン生地を貼り付けて焼く調理法が広く行われています。また、タンドールはパンだけでなく肉料理の調理にも使われます。
タンドリーチキンが有名です。

フィンランドの食生活

フィンランドの食生活は寒冷な気候などの地理的条件に大きく影響を受けています。
フィンランドは寒冷な国であり、小麦やぶどうのような温暖な気候を好む作物が育ちにくい地域です。
そのため、大麦やライ麦が主要な作物として栽培されています。
ライ麦を使った黒パン(ライ麦パン)が伝統的な主食の一つであり、大麦は、ビールの原料として利用されることが多いです。
混合農業で飼育された豚の肉を加工したソーセージやベーコンも多く消費されています。

解答

Aーフィンランド
Bー中国
Cーパキスタン
Dーナイジェリア

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